企業は「儲けてなんぼ」です。そのためには，まず商品やサービスを売らなければなりません。売るとか儲けるとかいうと，悪いイメージを持って拒否反応を示す方もいますが，決してそうではありません。儲けた利益は，よりよいサービスの提供や商品開発に投資していくからです。いくらよい商品を作っても売れなければ宝の持ち腐れになります。

　売るために何をするかというと，顧客や競合，自社を知って，そこから出てくるニーズに対して最も適切な手段をもって，それに応じた体制をとり，行動を起こしていきます。そうすることで儲けることができます。

　やることは，そんなに難しいことではありません。当たり前のことを当たり前のごとく，継続していくだけです。ですから，できる人から見れば物足りないかもしれません。ここで述べているのは，そういうことです。ただ，やることは簡単ですが，継続してやれば必ず成果が出てきます。

　対象としているのは，法人に販売をする企業の責任者や担当者です。やる気のある人であれば，本書の内容を継続的に実践することで，十分効果が出ます。中には，天才的な営業センスを持った「営業の神様」的な人もいますが，そういう人は対象外です。

　取扱商品は，とくにこだわりません。ただ，機械部品などの生産財（物を生産するための商品）や業務用商品の販売であれば本書によりマッチします。

　本書は全体として３部構成で，Ⅰ部は「ビジネスを成功に導く３つの心構え」，Ⅱ部は「すぐにできて大きく効果の出せる５つの作戦〜当面の応急処置的対応」，Ⅲ部は，「儲け続ける企業の営業実務７つのチェックポイント〜身につけておくべき能力・スキル」です。

　Ⅰ部の「ビジネスを成功に導く３つの心構え」では，営業を進めていく上でおさえておきたい考え方を説明しています。ビジネスは相手の役に立ってこそ成り立ちます。顧客は，その対価としてお金を出してくれます。内容として，３つの切り口でその心構えを述べていますが，すべてのベースはここにあります。

　Ⅱ部の「すぐにできて大きく効果の出せる５つの作戦〜当面の応急処置的対応」では，営業活動に勢いをつけるため，簡単に比較的時間をとらずにできて，大きく効果の出せる作戦について説明をしています。ただ継続的に強い営業体制を作っていくためには，Ⅲ部の「儲け続ける企業の営業実務７つのチェックポイント〜身につけておくべき能力・スキル」を時間をかけて，しっかりとやっておく必要があります。

　Ⅲ部で紹介する「能力・スキル」は，営業として時間をかけてでも必ず身につけていなければならないのもです。数字を確実に伸ばしていくためには，その土台がしっかりとしていなければなりません。やはり日頃の積み重ねや努力が非常に大切になってきます。そうすることでより確実に儲けることが可能になります。

　Ⅱ部とⅢ部の各項目は，解説と実習で成り立っています。実習用シートは，①継続しやすい，②すぐに実務で使える，ということに重点をおいたため，極力簡単にしました。

　本書を通じて少しでも皆様方のお役に立てればこれ以上の喜びはありません。