ブログ&コラム

2011年11月更新記事

ビジネスパーソンの8つの欲求

 ビジネスパーソンの心理を覗いてみよう。そこには、自分で選びたい、成し遂げたい、征服したい、認められたい、支配したい、危険を避けたい、仕事をしたい、公平を求めたい...。この8つの欲求がある。この心理を理解し、活かすことがリーダーの役目である。


人の心の根底にある欲求

 場外馬券売場に群がる紳士たちの目が輝いている理由として、5つの条件があることは、前回述べたところである。
 今回は、少し違った角度から、人が持つ欲求というものについてみてみたい。

 筆者のコンサルタントとしての経験則として、ビジネスパーソンの心理には、以下の8つの欲求を見出すことができる。

(1)「選びたい」という欲求
 ――自分で選んだ物には愛着が持てるが、与えられた物にはさほど愛着がもてない。

(2)「成し遂げたい」という欲求
 ――目標を持つ、あるいは与えられると、それを達成しようという意欲が出てくる。

(3)「征服したい」という欲求
 ――競争相手がいると、相手を負かしたい、勝ちたいという意欲が出てくる。

(4)「認められたい」という欲求
 ――「豚もおだてりゃ木に登る」である。誰しも褒められて悪い気はしない。

(5)「支配したい」という欲求
 ――自分の物にしたいと思い、自分の物ほど大切に扱う。

(6)「仕事をしたい」という欲求
 ――「土方ころすにゃ刃物はいらぬ、雨の3日も降ればよい」。説明はいらないだろう。

(7)「危険を避けたい」という欲求
 ――「君子危うきに近寄らず」。誰しも危険な地域や仕事は避けて通りたいものだ。

(8)「公平を求めたい」という欲求
 ――依怙贔屓(エコヒイキ)を嫌う心理は誰にでもある。

 組織のリーダーにとって大切なことは、この8つの心理をよくわきまえ、部下とのコミュニケーションにおいて配慮を忘れないことである。それが部下のモチベーション・アップにつながり、組織の活性化につながっていくのだ。

部下の心理を読むことがリーダーの仕事

 仕事を指示し、作業分担を決めるにしても、これらの欲求を常に意識して、実施することを忘れてはならない。
 指示・命令・任務付与には、モチベーションへの影響やタイミングを考えるとともに、部下に対して、その目的・理由の適切な説明が求められる。相手の理解・納得を得ること、納得を得るまでに至らない場合でも、少なくとも理解を得るために必要な措置は講じておく必要がある。

 こうした欲求は成人に固有の心理であるとは限らない。むしろ子供のほうがそれらを端的に表す場合が多い。自我の確立された成人がこうした欲求を自ら口にすることはむしろ少ない。
 であるからこそ、部下のそうした心理を読み取り、適切に対応することが、リーダーには求められている。


竹本次郎(たけもとじろう)/経営コンサルタント。鹿児島大学卒業。東京都労働経済局商工指導所、上武大学大学院教授を経て現職。著書に『トータルコストダウンの進め方』、『コンサルティング理論と技法』など。

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企業の繁栄は「報連相」にかかっている

 企業は収益を出していくために色々な工夫をします。管理責任者がその成果を出していくためには、「報連相(ほうれんそう)」が重要な役割を果たします。「報連相」とは、「報告・連絡・相談」の略で、企業の繁栄は「報告・連絡・相談」にあるといっても過言ではありません。
 本コラムでは、とくに営業部門・チームの強化という視点から、この「報連相」を解説していきます。
 1.何人くらいの部下が適当か
 2.情報伝達ルートはどうすればよいか


3.「ほうれん草ノート」を活用する

 部下に仕事を依頼したのに完了の報告がなかったり、指示をした本人が指示したこと自体を忘れてしまったりすることはないでしょうか。
 報告をしないほうが悪いのか、チェックをしないほうが悪いのか、判断の難しいところです。ただ、確実に言えることは、そのままにしておくと部下も「それでよい」と思うようになります。それではチームを強くすることはできません。
 「報告、連絡、相談」を確実にしていくために、業務の依頼事など日々の確認が必要な内容のものについては、それを管理する専用のノートの活用をおすすめします。

 名付けて「ほうれん草ノート」。
 やることは簡単です。指示(依頼)をした人が、その内容を書き込むだけです。

  「日付(必要なら時間も)」
  「誰に(担当者名)」
  「何を(依頼内容)」
  「いつまでに(締切・納期)」

 内容をきっちり細かく書く必要はありません。自分が分かれば略字で十分です。
 きりをよくするために、1つの指示ごとに下に線を引いて区切ります。報告を受けて完了したものは、×印をつけて消します。×印がないのが、未報告ということです。


【図 「ほうれん草ノート」のイメージ】
horennso1.jpg


 メモ用紙のみで指示を行うケースも多く見られますが、これは極力やめてください。なくしてしまいチェックできなくなる可能性が高いからです。

 「報告、連絡、相談」をより徹底するためには、部下が出社・退社をする際、必ず近くに来て挨拶をするように習慣づけを行います。そのときにノートを確認することで、未報告の問題は、ほぼ無くすことができます。
(高澤 彰)
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心理学の"お得な"入門書

 新聞を止めて1週間ほど経ったある日、「○○新聞の本社事業部から来た」といって営業パーソンが訪ねてきました。

 「怪しいものではありません」と首から提げた身分証を提示して、
 「3ヵ月間のご契約ありがとうございました」といって粗品をくれます。

 (3ヵ月? 確かに契約期間は3ヵ月だけど、トータルでは15年以上のはず)と思いつつも、話に乗る気がなかったので黙っていると、「3ヵ月ありがとう」「3ヵ月ありがとう」を連発します。

 この人は知ってて言っているんだな、とピンと来ました。わざと「3ヵ月」と言って、こちらが「うちは15年も取っているんだよ。知らないのか」と言うのを待っている。反論させることでトークにひきこもうという戦術。「15年も取っている」と口に出すことで、こちらのロイヤルティ感情も呼び覚まされますし・・・。巧みに心理を突いてくるセールストークだな、と思いました。

 営業の仕事には心理学が役立ちます。でも、本を1冊読むのは気が重い、という方も多いでしょう。そういう方に、先日、偶然見つけて"はまった"文庫本を1冊、紹介したいと思います。





相手の『ノー』にはそんなに深い意味はない

  心理学者でコンサルタントとしても活躍される内藤誼人さんの著書です。(どんなに怪しいことが書いてあるんだろう)と、うっかり立ち読みしてしまい、止ま らなくなりました。書名に反して、中身はいたって健全! 心理学を、偉人の名言や古今東西の格言に結びつけて解説し、人生やビジネスシーンで活用しよう、 という内容です。

 たとえば、「どんな相手でもスグに虜にしてしまう『対人術』」と題された2章では、

  世間の人間の5分の1はいつでも何にでも反対する。(ロバート・F・ケネディ)

という名言を紹介して(p.63)、

 「人間というのは、あまり理由がなくてただ何となく『ノー』ということが多い」

と心理学のセオリーを語り、

「相手に『ノー』と言われたら、『こんにちは』と挨拶されたのと同じくらいに聞き流すのが正解である。相手の『ノー』にはそんなに深い意味はないからだ」(p.65)

と処世術につなげる、という具合です。
 「ノー」と言われて落ち込むことの多い小心者のわたしには、まさに"福音"(?!)の言葉でした。

お気に入りの言葉が1つ2つ、必ず見つかる

 文庫のわりに文字も大きく、読むのにそれほど時間はかかりません。それでいて、「ホーンズ効果」や「ハロー効果」、「波及効果」など心理学のセオリーもかじれますし(本格的に学びたい人は専門書をどうぞ)、「へ~」、「なるほど」という言葉が数多く登場します。

 わたしの気に入っているのは、MITの教授が提唱している「バブソンの法則」(p.163)。

 「1日1時間勉強すると1年でひとつの専門家になれる」
 「いったん習慣化すれば、自分でも気づかないうちに、信じられない地点までいけるといえよう」

 "習慣化"は高澤がメールマガジンでも薦めていましたが、1年で一家言持てるとなれば、モチベーションも格段に高まります。

 通勤や出張等の移動中に気軽に読めて、お気に入りの言葉が1つ2つ、必ず見つかる、"お得な"入門書だと思います。
(宮崎洋一)

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