ブログ&コラム

2011年10月更新記事

人を動機づける5つの要件

 人は、自分で情報を集め、分析・判断し、選択し、意思決定し、リスクを負い、そして利得ができる条件が揃ったとき、最高に昂揚する。場外馬券売場に集まる人たちの目が輝いているのはその条件を満たしているからだ。

自分で情報を収集し分析・判断し、意思決定する

 筆者がかつて勤務していたオフィスの隣に場外馬券売場があった。競馬が催される週末には、馬券を買いに来る人々でにぎわう。ランランと目を輝かせて人々が集まってくるのである。
 彼らは、皆一様に競馬新聞に視線を集中させ、赤鉛筆をなめながら何かマークを付けている。ラジオのイヤホンを耳に挟んでいる人もいる。出走の時間が迫ってくると出札窓口は黒山の人だかりとなり、TVモニターの前はレースに釘付けとなる人々で溢れた。

 そうした彼らの行動に接しているうちに、筆者は、彼らの目がなぜ燃えているのかに興味を抱くようになった。その結果、次の5つの要素が働いていることを発見した。
 (1)自分で、情報を集めている
 (2)自分で、情報を分析している
 (3)情報分析の結果をもとに、自分で選択し、意思決定している
 (4)身銭を切っている(リスクを負っている)
 (5)常に、万馬券を期待している
 この5つの要件が揃ったとき、人は最高に燃える、意気が上がるのだということに気づいたのである。

社長は毎日、馬券を買っている

 この場面を会社の経営に適用して点数化してみよう。経営トップは上記の(1)~(5)の要件を全て満たしているので5点満点である。毎日馬券を買っているようなものだ。
 他方、新入社員のA君は、(2)~(5)の要件をほとんど満たしていない。(1)の情報収集も、自分の意思というよりは上司の指示で動いているだけなので、実際には0.5点といったところだ。
 社長から点数の高い順に並べてみると、副社長・専務・常務・部長・課長・係長とほぼ職階層順になる。

 さて、あなたが上司の立場で、やる気のない部下が多くて悩んでいるとする。そういう場合に部下にやる気を起こさせるためには、(3)の意思決定や(4)のリスクの要件をいかにして拡大してやれるか、という点が重要になろう。

 すなわち、まずやってほしいことは、
 (A)権限委譲を進め、褒賞の機会をつくること
  (自己責任で意思決定する機会を増やし、成功したら褒めたたえ金一封等で報いる)
 (B)信賞必罰のしくみを機能させること
  (ただし、失敗した場合にはそれなりのペナルティを与えるようにする)
である。部下の目がランランと輝きだすに違いない。

 なお、罰を与えるという点では、「いかにやる気を殺がずに叱るか」も大切になるが、これについては別の機会に述べることとする。

竹本次郎(たけもとじろう)/経営コンサルタント。鹿児島大学卒業。東京都労働経済局商工指導所、上武大学大学院教授を経て現職。著書に『トータルコストダウンの進め方』、『コンサルティング理論と技法』など。
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企業の繁栄は「報連相」にかかっている

 企業は収益を出していくために色々な工夫をします。管理責任者がその成果を出していくためには、「報連相(ほうれんそう)」が重要な役割を果たします。「報連相」とは、「報告・連絡・相談」の略で、企業の繁栄は「報告・連絡・相談」にあるといっても過言ではありません。
 本コラムでは、とくに営業部門・チームの強化という視点から、この「報連相」を解説していきます。

1.何人くらいの部下が適当か  (前回解説

2.情報伝達ルートはどうすればよいか
 組織内のメンバーは、常に特定の1人の上司からだけ命令を受けるようにします。各メンバーからすると必ず1人の上司から命令や指示を受け、そのフードバックとして「報連相」を行うという関係性になります。
  「命令の出どころを1つにする」。これが守られないと、組織として統一的な行動の維持が困難となります。指示命令系統が明確でなければ、誰が誰の言うこと を聞いてよいかわからなくなるからです。そういう事態を防ぐためには、組織図などを作って命令の流れを分かりやすくすることが必要です。

 AとB の2つの部署があった場合、Aの部署のメンバーがBの部署のメンバーに指示や命令をすればおかしなことになります。下手すれば組織の秩序の崩壊にもつなが りかねません。良かれと思って手伝ったり、アドバイスをすることも、状況によっては越権行為と取られかねないので気をつけましょう。

 また、分か らないことを分からない人同士が相談して対応を決めている状況を目にすることがあります。上司から受けた指示について迷った場合に、聞きやすい仲間内で確 認したりします。上司の意図と仲間の考えが同じであるとは限りませんので、分からない場合は、必ず分かる人(指示を出した本人あるいは社歴の長い先輩等) に確認を取りましょう。
(高澤 彰)
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 管理人の宮崎です。
 このページでは、主宰高澤彰と私、それからゲスト執筆者が、ビジネスや営業スキルの向上に役立つコラムを連載しています。
 私の場合、前職が出版社勤務(『法人営業実習ノート』の担当編集者)でしたので、「本」をテーマに進めていきます。新刊、既刊、古典を問わず、またジャンルもビジネス書に限定せずに様々な本を取り上げていくつもりです(様々といっても1年にせいぜい15冊ですが・・・)。

15冊の本で夢が叶う!?

 世界で初めて営業マニュアルをつくり、〈セールスの父〉と言われるジョン・パターソンの教えを現代のビジネスシーンに合わせて解説した『パターソンの営業法則』という本があります(ジェフリー・ジトマー著/浦谷計子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2005年)。
 その74ページに、読書の大切さを表現したこんな言葉がありました。

「あなたなら15杯のビールを選ぶか、15冊の本を選ぶか。ビールを選べばたどり着くのはトイレだが、本を選べばトイレと言わず、レストランのオーナーにだってなれる」

 本を作ることを仕事にしている者にとってはたいへんありがたい言葉です。でも、「本ならばなんでもいい、ということではないだろう。仕事に大いに役立つ本もあれば、『読んだ時間を返してくれ』といいたくなるような本もある」という読者の声も聞こえてきそうです。
 たしかに、読んでられないヒドい本もありますが、読む側の気持ちや心構えの問題も大いに関係しているのではないでしょうか。何かに役立てようと必死になって読んでいると文章の中から答えが"浮き出て"くるようなことも、しばしばあるものです。
 先ほどの言葉でいえば、「レストランのオーナーになりたい」というビジョンをしっかり建て、そのうえで自分のアンテナに掛かってきた本を必死になって読む。そうすると自ずと道は開けてきて夢は必ず実現する、ということなのだろうと思います。
 『パターソンの営業法則』には、他にもまだまだ参考になる"至言・名言"がたくさんあります。折を見て再度ご紹介したいと思います。




 次回は心理学の分野から1冊、ご紹介する予定です。
(宮崎洋一)
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